リンク先の長谷川刃物さんは、ガラス瓶にくっついているプラスチックの注ぎ口や、ペットボトルに残るキャップリングを切り離したり、ペットボトルそのものを切ったり、ラベルを剥がしたり、などを目的とする、ゴミ分別専用ハサミを販売されています。
環境問題に関心があり、ゴミの分別やリサイクルの意識が高い人が欲しそうなアイテム群ですね。
しかし、待てよ、何か間違っていないだろうか、と皆さんは思われませんか?
(長谷川刃物さんは何も間違っていません、念のため)
もっと分別しやすく、リサイクルしやすく、あるいはそのまま再利用(リユーズ)しやすいように、最初から製品(容器)が作られていればいいんじゃないか?
そうでなければ、販売業者、製造業者が回収に責任を持てるものを流通させればいいのでは?
つい、較べてしまうのが、環境先進国ドイツです。
例えば、ペットボトル。
日本では、消費者がラベルとキャップを外し、ペットボトルだけを「再生資源」として集め、工場でブロック状にして細かく砕き、別の工業製品の材料として再度使われる「リサイクル」(相当部分が中国などに輸出されている、という話ですが)。
このシステムは一見環境保護に役立っているように見えますが、いろいろ議論はありますよね。
(特に、PTEと材質が異なるキャップだけ回収して途上国のワクチンを、という運動などは、推進する企業、団体の狙いと効果、両方に首を傾げる人も少なくありません。)
一方、ドイツでは、ペットボトル入りドリンクを買うと、ペットボトル容器代も合わせて支払うことが多いです。
日本でのビール瓶や一升瓶と同じように、と言うとわかりやすいでしょうね、容器を返すと、一度支払った容器代が戻ってきます。デポジット制度、ですね。これが、結構バカにならない金額なんです。
例えば、飲料水のペットボトル1本買うと、0.70ユーロ(約90円)、その内、容器代が0.25ユーロ(約33円)だったりします。ケース買いなんかしてると、何百円単位になりますね。だから、ほとんどの消費者は、ペットボトルを(基本的に買った店に)返しにきます。
この返されたペットボトルは、販売されたルートを戻り(小売店から販売業者、そして飲料水のメーカーへ)、メーカーはペットボトルを「再利用」、つまり洗ってまた飲料水を詰めて市場に流します。
この循環が、数回ということはないでしょう、何十回か繰り返されて、最終的に古くなったペットボトルは資源として、別の形にリサイクルされるのでしょう。このシステムだと、思想信条貧富を問わず、誰でもが自然に環境保護に参加する結果になるのではないでしょうか。
肉や魚、果物にさえ使われている白いスチロールトレイも、ドイツなど欧米では、使用量は極めて少なく、トレイがあっても、紙製品がほとんどです。
日本、どの町に行っても、「プラスチックごみ」の日は、大袋が山積みになっているし、スーパーなどの「回収箱」もパンパンですが、販売の時点で包装、容器を少なくしよう、という動きは(ないとは言いませんが)まだまだ少数。
(「3丁目の夕日」の昭和30年代の頃は、我々も量り売りの食べ物を包む新聞紙や竹のフネなど、おふろを沸かす燃料にしたそうなのですが。)
便宜性と華美、当面のコストの安さ、などを追及するのもいいけれど、子孫に取り返しのつかない「ツケ」を蓄積し、回さない方向を政治も企業も、消費者一人ひとりも考えるようになればいいですね。
たくさん作ってたくさん売って、あげくにたくさん捨てるのはカッコ悪い、もうとっくにそんな時代じゃないでしょうか
株式会社シロ・インターナショナル・コーポレーション 早川 淳志